オーストラリアで長く暮らしていると、
「わたしが死んだら遺灰はオーストラリアの海にまいて」
と親や親せきから言われることがあります。
適当に「はいはい」と答えてたんですけど、
オーストラリアで散骨は現実的に可能なのか?
と、ふと気になりました。
結論:オーストラリアで散骨は可能
しかし、
- 遺灰は飛行機に持ち込める?
- 入国の際の遺灰の検疫は?
- てか、海に遺灰をまいていいの?
- どこに頼めばいいの?
- 予算は?
などなど、疑問に思うことありますよね。
この記事では「もし、日本在住者がオーストラリアで散骨をするとなったら、、、?」についてまとめました。
もくじ
遺灰はオーストラリアに持ち込み可能?検疫は?
検疫が厳しいオーストラリアです。
「遺灰を持ち込めるか?」を確認しなければいけません。
関連機関のサイトでの公式発表を調べてみました。
オーストラリアに遺灰は持ち込めるのか?
Australian Border Force(オーストラリア国境警備局)のサイトからの引用です。
If you plan to carry ashes with you, it is advisable to contact the airline or shipping line prior to travelling. Those organisations may have requirements to be met when human ashes are carried by a passenger or included in luggage.
(出典:Importing human remains or ashes-Australian Border Force)
ざっくり翻訳
遺骨を持ち運ぶ予定がある場合は、旅行前に航空会社または運送会社に問い合わせることをお勧めします。人骨を乗客が運ぶ場合、または荷物に含める場合に満たさなければならない要件を設けている場合があります。
航空会社が遺灰の飛行機への持ち込みを許可しているかを確認しなければならないわけですね。
機内に遺灰は持ち込めるのか?
日本とオーストラリアを繋ぐ代表的な航空会社「JAL」「ANA」は遺灰・遺骨の機内持ち込みに関し、どのような規定を設けているのでしょうか?
JAL
ご遺骨は機内に持ち込みいただけます。倒れないように安定した容器にお納め、風呂敷や袋などにお包みください。なお、 各国・地区によって取り扱いが異なる場合がありますが、保安検査場ではご遺骨をお持ちのまま通過いただけます。
ANA
はい、機内にお持ち込みいただけます。
機内にお持ち込みいただける手荷物の大きさについては「機内持ち込み手荷物のサイズとルール」でご確認ください。
(出典:【国際線】遺骨(遺灰)は機内持ち込みできますか-ANA)
どちらの航空会社も遺灰の機内持ち込みは許可されていますね。
さて、問題の「遺灰のオーストラリアの持ち込み」「検疫」について。
オーストラリア入国時、遺灰の検疫での扱い
オーストラリア大使館の「検疫について」のページにドンピシャの質問&回答があったので引用します。
オーストラリアへの渡航に遺灰を持参する場合、Agriculture Biosecurityへの入国時の申告が必要です。
ん?
Agriculture Biosecurity、、、、また難しそうな単語が出現しましたね。
あぐりかるちゃーばいおせきゅりてぃ???
とにかく、公式ページで内容を確認しましょう。
遺灰入れ(骨壺)の素材により申請が必要
There are no restrictions or requirements, from a biosecurity perspective, for human ashes coming into Australia. No import permit, death certificate or cremation certificate is required.
(出典: Biosecurity and trade-Deaprtment of Agriculture,Fisheries and Frestry)
ざっくり翻訳
バイオセキュリティの観点から、オーストラリアに持ち込まれる人骨には制限や要件はありません。輸入許可書、死亡証明書、火葬証明書は必要ありません。
遺灰そのものに関しては検疫上のルールはないと記載されています。
書類も不要とのことです。
しかし、
If biosecurity risk material is present and/or the container is made from wood, the container will need to be declared on the Incoming Passenger Card (IPC) on arrival into Australia and will be inspected by a biosecurity official.
(出典: Biosecurity and trade-Deaprtment of Agriculture,Fisheries and Frestry)
ざっくり翻訳
容器が木製である場合、その容器は申告する必要があります。オーストラリア到着時に入国旅客カード (IPC) に記載され、バイオセキュリティ担当者による検査を受けます。
遺灰が入っている容器の素材が「木製」の場合は入国時に検査が必要とのこと。
そういえば、入国カードの質問内容に「木製品、植物」を持っているか?との質問がありますね。
まとめると、
遺灰は木製以外の遺灰入れに入れれば、申告無しでオーストラリアに持ち込める
ということになります。
※2024年9月現在の情報です。最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。
オーストラリアの海で「海洋散骨」は可能か?
「オーストラリアの海に散骨したい」と考える方は、グレートバリアリーフや美しいビーチが点在するエリアを散骨の候補にあげるのでは?
と予想し、
クイーンズランド州の散骨のルールについてお伝えします。
(※オーストラリアは州ごとに法律やこまごまとしたルールが異なります)
クイーンズランド州政府の公式サイト
You may scatter ashes on land or water and hold a small, private ceremony—no permit is required.
ざっくり翻訳
陸地や水上に遺灰を撒き、小規模なセレモニーを行うこともできます。許可は必要ありません。
ただし、現地の葬儀屋の公式サイトによると、
- 船から散骨する場合は、船主から散骨の許可を得る必要がある。
- 連邦保護区に指定されている連邦海洋地域も同様に扱われ、環境保護および生物多様性保全規制の要件に従い、許可を取得する必要がある。
(出典:Crematoriums and scattering ashes in Queensland-Bare)
やはり、別の側面から調べてみると「許可」が必要。
船主からの許可やら環境保護および生物多様性保全規約やら、ここまでくると散骨のサービスを提供している専門業者に依頼する領域だと思います。
オーストラリアの海洋散骨、予算はどのくらい?
Googleで検索してみたところ、オーストラリアの海洋散骨を取り扱う業者をいくつか見つけました。
価格感はこんな感じ。
- 所要時間:1.5時間
- 最大6名
- 649豪ドル (約61,390円)
- 2時間
- 最大12名
- 950豪ドル(約89,860円)
(※2024年9月現在の為替レートで換算)
船代に加え、航空券+宿泊代+現地での飲食代の総額がオーストラリア散骨の予算となります。
航空券とホテルをExpediaでざっと調べてみると、時期やホテルの種類、使用する航空会社にもよりますが、クイーンズランド州であれば20~30万円前後が平均でしょうか。(※4泊分の宿泊費+航空券のパッケージ)
オーストラリアでの海洋散骨、超どんぶり勘定で50万円でおつりが来るか来ないか、、、といった予算になりそうですね。
海外での散骨もいいけど、日本でもいいんじゃないか……?
ここまで調べておいてあれなんですけど、
正直な感想として、、、
「海に遺灰をまいてもらいたいなら、日本でもよくね?」と思いました。
「どーーーーしてもオーストラリアに遺灰をまいてほしい!!」という強い希望はうちの身内にはなさそうですし。
もし、この記事をご覧になっているあなたの身内の方がオーストラリアに対して強い思い入れがあるなら、オーストラリアでの散骨を叶えて差し上げることができれば素敵なこと。
でも、うちの身内はそこまで思い入れなさそうだし。。。。
日本の海洋散骨は代行だと4万円代からできるようだし、みんなの海洋散骨ってところに見積もり出してもらおうかな。