マレーシアはアジア圏の中でも英語力の高さはトップクラス。フィリピン、シンガポールに匹敵するほど、国民のほとんどが英語でのコミュニケーションが可能です。
数年前、マレーシアに行って驚いたのが、ローカルが集まる屋台のおじさんやスーパーマーケットやコンビニの店員さんまでもが、私が外国人だと気付くとすぐに会話を英語に切り替えたことでした。
マレーシアだったら迷子になっても安心だ、と気が緩み、旅のあいだじゅう何度もそのへんを歩いているマレーシア人に道を聞きながらの道中で、一度も「俺、英語わからない」と答えた人はいなかったんですよね。
みんながみんなネイティブレベルの高い英語力を持っているわけではないし、発音も少し聞き取りづらい人もいるので、彼らの英語力には個人差はありますが、「コミュニケーション」という点で考えれば、何ら問題はありません。
路肩で30円のアイスコーヒーを売ってるおじいちゃんでさえ、ホテルへの帰り方がわからなくなった私に丁寧に道順を英語で教えてくれました。
日本の中高年のおじさん、おばさんが、外国人に突然道をきかれて対応できるのは少数派、もしくは「スピードラーニング」のCMの中だけでしょう。
今回はマレーシア人の言語能力がなぜそれほどまでに高い理由やマレーシア人が話す英語の特徴について紹介します。
もくじ
マレーシアは3つの民族が共存する多民族国家、異なる民族との共通語は英語
マレーシアは、
- マレー系マレーシア人
- 中華系(華僑系)マレーシア人
- インド系マレーシア人
の3つの民族で構成されている多民族国家です。
公用語は「マレー語」とされていますが、実際は中華系マレーシア人は中国語(北京語・福建語・広東語)を、インド系マレーシア人はタミル語を日常的に使用しています。
異民族間でのコミュニケーションは英語を使うことが一般。
マレーシアは「大学進学」や「就職」のためではなく、生活の中でのコミュニケーションのために「英語」があります。
だから、マレーシア人は日常的に英語を使っているため、アジア圏でも高い英語力を誇る国というわけです。
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マレーシア人が話す英語は静岡県の方言と共通点がある?
マレーシア人が話す英語の特徴に語尾に「Lah」(ラー)を付ける、というものがります。
(シンガポール人も語尾に「ラー」つけます)
「Ok,lah」(オッケー・ラー)「No problem lah」(ノープロブレム・ラー)という使い方で、「ラー」には深い意味はありません。
私は静岡県出身なのですが、静岡県も語尾に「ら」をつける方言があります。
こんな感じ。
「そうだら」(そうです、そうでしょ?)
「ちがうら」(ちがいます、ちがうでしょ?)
「おいしいら」(おいしいです、おいしいでしょ?)
マレーシアの英語も静岡の方言も「ら」の語尾を上げると疑問文になる、という共通点があります。
マレーシア人が話す英語は動詞が過去形に変化しない!?
マレーシア語では動詞は現在形のみ。過去形や過去分詞がありません。
Makan (食べる)という動詞をつかって、「食べた?」と聞きたいときは、「Sudah Makan?」(Sudahは「すでに」という意味)
動詞の前にSudahをつけることで、「過去」を表す文脈となります。
このマレーシア語の文法ルールを英語に適応させているマレーシア人が本当に多くて、最初は「ん?」と思いましたが、慣れてしまえば、こっちの方が楽かも、と感じるようになりました。
例えば、
「I ate cakes」(ケーキを食べました)という文章。eatの過去形であるateを使って過去の出来事をあらわしています。
これが、マレーシア人が話す英語の場合、
「I eat cakes」過去の話でも現在形のeatを使うので、それが「Yesterday」(昨日)のことなのか、「a week ago」(1週間前)のことなのかは、最後まで聞かないとわからないのです。
過去形・未来形の動詞を使うべき文章が、すべて現在形になっている可能性がある、ということを念頭に置いておくとコミュニケーションがスムーズです。
マレーシア英語・発音の特徴
マレーシア人の話す英語は[R]の発音が抜け落ちている傾向があります。
「ハイパッで待ち合わせしよう」と言われたとき、私はさっぱり意味がわかりませんでしたが、最終的に「Hyde Park」(ハイドパーク)のことを言っているんだ、と理解できるまでいくらか時間がかかりました。
また、マレーシア人に限らず、外国人が発音しづらい音に「小さい【っ】」があります。(「促音」や「詰まる音」と呼ばれています)
Bookはブク、堀田さんはホタさんと「小さいツ」の発音も抜け落ちることが多くあります。
発音の特徴がつかめれば、マレーシア人の話す英語への理解力は数段アップします。
だから私たちも自信をもって日本語訛りの英語を話そう
マレーシア人の話す英語は訛りもあるし、文法的にも「?」な部分がありますが、みんな「通じればいいんじゃない?」という気持ちで堂々とコミュニケーションを取ります。
日本人の英語教育に足りない部分はここかな、、、、と。
私たちは受験に備えて、就職のためのTOEIC試験に備えて、かなり高度な文法、熟語、単語、ライティングを学んできていますが、はたしてコミュニケーションの役に立っているでしょうか。
役に立つどころか、日本の重箱の隅をつつくような英語教育は、外国人とのコミュニケーションにおいて弊害になっていると思います。
「この発音で通じなかったどうしよう」「文法はこれで正しいんだっけ?」「えーと、この場合の前置詞は、、、」と、言葉を発する前に考え込んでしまうクセをとっぱってしまう必要がありますよね。
マレーシア人の話す英語は先にお伝えしたよう、過去形がなかったり、発音が独特だったり、なぜか語尾に「ラー」をつけたりと、マレーシア独自の英語である「Manglish」を確立しています。
私たちも「これが日本人の英語なんすっ!」と細か文法や苦手な発音などを気にせずに外国人と堂々とコミュニケーションをとっていきたいですね。